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第111話  金曜日の視線がまだ追いついてくる

last update publish date: 2026-08-27 13:00:25

歩道を並んで歩きながら、朱里はこっそり指先をぎゅっと握りしめていた。

嵩が「ゆっくり歩こうか」と言ったその穏やかさは、胸の奥をやわらかく揺らす。

でも同時に、《金曜日の“あの視線”》がどうしても消えてくれない。

(……望月さん、絶対に気づいてたよね)

あの日、コンビニの袋を手にした瑠奈は一瞬だけ固まり、

「おっ、平田先輩と中谷先輩!」

と目を丸くした。

その表情が、今日になって何度も脳裏をよみがえる。

その気配を感じ取ったのか、嵩がゆっくり朱里の歩幅に合わせながら口を開いた。

「……やっぱり、気にしてる?」

「えっ……な、なにをですか」

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